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2006/12/12 火曜日

  前十字靭帯断裂

 前十字靱帯は、膝関節の内部にあり、大腿骨(太股の骨)と脛骨(けいこつ=膝から下:すねの骨)をつないでいる靱帯です。前十字靱帯は、慢性的な靱帯の変性(加齢や関節炎などによる)や、外傷によって断裂します。
多くの場合は、もともと膝に骨膜炎や関節炎などの基礎疾患が存在すると言われています。 

片側の前十字靱帯断裂を起こした犬の多くが、高い割合で1〜2年以内に反対側の靱帯断裂も起こし、治療しなかった場合は数週間以内に変形性関節症を起こし、数ヶ月以内に重度に進行します。 

性別や年齢にかかわらず、あらゆる品種の犬に発症しますが、急性の断裂は若くて活動的な大型犬に多く見られます。
慢性の断裂は、変形性関節症に関連していることが多いため、比較的高齢の犬に多く見られます。

<症状>  急性の断裂では突然の跛行(はこう=びっこをひくこと)が見られます。
全く体重を負重出来ない場合と、部分的に負重出来る場合があり、痛みはないか、あっても軽度のことが多いです。

慢性の断裂や部分断裂では、間欠的な跛行が見られ、長期間になると反対側に比べて筋肉が痩せて、足が細くなることがあります。

<検査>  
前十字靱帯の断裂を診断するためには、触診及びX線検査が必要です。
この場合、痛みや恐怖による筋肉の緊張を取り除くために、鎮静または全身麻酔をかけた状態で検査を行います。

<治療>  
①口内科的治療:膝関節への負担を減らすために、体重の減量と運動制限が必要です。
抗炎症剤や鎮痛剤、軟骨保護剤は、滑膜炎や変形性関節症の治療に有効です。

※10kg以下の動物では通常治療を行わなくても、靱帯損傷後3~6週間で跛行は軽減され、錠剤の投与や安静な保存的療法(鎮痛、手術以外の方法)によって充分な機能の回復が得られると言われています。
   
しかし、10kg以上の犬では跛行は改善されますが、たとえ跛行の再発がなくても正常な活動性を示すまでの回復は望めず、また、10kg以下の犬でも跛行は改善されたとしても、二次的に変形性関節症を起こすため、早期回復・機能向上のためには、全ての犬に対して手術することをおすすめします。    

② 外科的治療:手術によって、断裂した靱帯を修復します。いくつかの手術方法がありますが、犬の大きさや肥満の程度によって方法を変えたり、いくつかの方法を組み合わせたりして手術を行います。どの方法で行った場合でも、術後2~3ヶ月は運動制限を行います。

      

<予後>  
採用した術式を問わず、外科的治療を行った犬の予後は良好(85~90%)です。
しかし、変形性関節症は採用した術式にかかわらず進行します。

<リハビリ>

 

膝の関節においてこの靭帯は非常に大切な役目を持っています。かなりの負荷をもって機能している靭帯です。よって術後の管理が非常に重要です。人間で言うところの“リハビリ”ですね。
術後の管理と減量が一番大切であり、手術の成否を決めます。必ず下記の注意点を守ってください。
 
①術後約1ヶ月間は絶対安静を守りましょう。
・退院後の1週間は必ず、ケージやサークルの中での生活をさせましょう。柔らかいマットなどの上での生活を推奨します。
・退院後2週目に抜糸を行います。また、その際、足の具合を診察させて頂きます。
・特に、坂道、ジャンプなど激しい運度や早足や5分以上の運動は絶対に避けてください。ケージから出す時は必ず綱を付けて運動を管理してください。その際もリードは短く持ち、ゆっくりしたスピードでの散歩を心がけてください。
・術後1ヶ月は、ケージやサークルの中での飼育を推奨します。
 
②術後2ヶ月目から。
まだ坂道、ジャンプなど激しい運動は絶対にさせないで下さい。
 散歩の時間は足の調子を見ながら少し増やしても良いでしょう。約15分ほどを目安にしましょう。この時期も必ず綱を付けての運動量を管理してください。
 まだこの時期に腫れや痛みのあるときは、お薬を投与します。
 
③術後3ヶ月目から。
少しずつ様子を見ながら散歩を増やしてもらって良いです。
④それ以後
関節疾患へのサプリメントの継続的な投与をお勧めします。
術後の管理において減量に勝るものはありません。必ず減量は行ってください。
また、3ヶ月が過ぎてもこれから先、あまり激しい運動はさせないほうが良いでしょう。一度痛めた関節は必ず、再発や数年後の変形性関節症の発生率が高いものです。十分注意して生活させてあげてくださいね。

わからないことや心配なことなどありましたらどんなことでもご相談下さい。