院長の寺田です。
今日はとても暖かく、春本番を予感させる陽気ですね。でも、この時期は必ず寒の戻りがあります。皆さんも体調管理には十分に気を付けて下さいね。
さて、今月のオススメ図書は、2冊です。本当は、違うのをご紹介しようと思っていたのですが、あまりにもこの2冊が”当たり”だったのでご紹介します。先日、ふと訪れた書店のオススメコーナーに置いてあり、思わずその装幀に目がとまり、買ってしまったのものです。何となくその二つの本の装幀がなんだが誘ってしまいました。
得てして出会いとはこんなモノ。
1冊目は、浅田次郎著 ”一路”
世は江戸末期、ペリーが来訪し、桜田門の変が起こった頃、父の死に際し突然家督を継ぐことになり、何も分からないまま参勤交代の差配を仰せつかった主人公。手元にあるのは江戸初期にかかれた家伝の「行軍録」のみ。それは戦国の世の本当の参勤交代の模様が書かれていたのであった。実直、誠実の主人公は、お家騒動にも巻きこまれながら困難なそして本当の”行軍”を行っていく物語。
真実一路って言葉をふと思い出す、素敵な江戸モノ。早春の今頃に読むのにぴったりです。中山道を歩いてみたくなりますよ。
流石、浅田次郎さんです。オススメです。
2冊目は、百田尚樹 著 ”海賊と呼ばれた男”
百田さんと言えば、永遠の0ゼロ”の作者ですが、僕は永遠の0が話題作だったのと、零戦哀詩は泣けて泣けて仕方がないので読んでいませんでした。しかし、この”海賊と呼ばれた男”の表紙、上巻・田舎の線路を歩く男の姿、下巻・造船所での船の進水していく姿に思わずグッと引き寄せられてしまいました。
言わずとしれた出光興産の創始者、出光左三の自叙伝。明治、大正、昭和の激動期を生き抜き、そして人間尊重を旗印にある意味、本当の民主主義を貫いた男の物語である。物語には、宝塚、武庫川、神戸の造船所、神戸大学、淡路、姫路、そして相生の造船所が登場しており、余計に物語がリアルに目の前に迫ってきます。
白州次郎伝や司馬遼太郎の坂の上の雲(これは明治そのものか)などのように、ここ10年ほど明治男の話が特に取り上げられることが多いのですが、また素晴らしい日本人を勉強させてくれました。だいぶ前に亡くなった私の祖母をふと、思い出しました。
どちらも、背筋がピンと伸びる物語です。オススメです。