院長の寺田です。
昨日、何年ぶりかですが”タマネギ中毒”のワンチャンが来院されました。犬にタマネギは良くないって事は最近の患者さんは大概知っていらっしゃるのですが、不意に食べられてしまったり、知らないうちにテーブルの上のものを食べてしまったりと言うことで見られることが殆どです。
タマネギ中毒の症状としては、血尿です。醬油色とかコーヒー色とかというふうに表現される血色素尿と言われるものです。この血色素尿は、血液の溶血によってなるので、貧血が起こっています。貧血の症状では、しんどそうとかなんだか元気がないとかです。
血液検査では、ハインツ小体性溶血性貧血が起こっています。
タマネギの成分が赤血球の表面の膜を傷害してしまい、脾臓や肝臓で赤血球の取り組み処理が亢進し、赤血球が崩壊しやすくなり、赤血球の寿命が短くなり、貧血が起こってきます。
タマネギそのものを食べた場合だけでなく、ハンバーグや餃子、焼き肉(タマネギと一緒に焼いた時)、肉じゃがなど素材として使われた料理にも注意が必要です。
ただ、犬によってかなり感受性が差があるので、少々食べたぐらいではなかなか中毒まで起こることはありません。また、食べたからといってすぐに何か対処できるようなお薬もないので様子を見守ることになります。
症状が酷い場合の治療法は、輸血になります。中毒の影響が体から過ぎ去るまで輸血でしのぐと言うことです。
幸い、今回のワンチャンは一時的に血色素尿が見られただけで酷い貧血を伴わずに元気いるので特別な治療は必要ありませんでした。
これからバーベキューなども多い季節です。気を付けてあげて下さいね。
身近なもので注意するものとしては、タマネギ以外にもあります。
タマネギ、ニンニク、ネギ、ニラ、そして頭痛薬(アセトアミノフェン)、ナフタレンなども同じような中毒を起こします。
違ったタイプの中毒で注意したいのは、
キシリトール(ガムで多い)、チョコレート、ぶどう(干しぶどう)、そして夏場は、保冷剤(アイスノンやペット用冷やすマットなど)があります。保冷剤は夏場に使用されるのですが、これをペットシーツを破くように遊んで破いてしまい、中身を舐めたり食べたりして中毒を起こすことがあります。
よく注意して下さいね。