こんにちは、院長の寺田です。
江戸、東京には徳川将軍家の菩提寺がありますが、当時は土葬のためミイラ化した歴代将軍に会うことが出来るんですよ、皆さん知ってました?!当然、いろんな許可を得て墓を暴かねば?!ならないのですが。
今回ご紹介する本は、有名な人類学者鈴木先生のシリーズ本の一冊で、作者は実際に将軍達とご対面された方です。東京大学人類学教室教授。
鈴木 尚 著 「 骨 日本人の祖先はよみがえる 」
まずは、ピテカントロプス発見の地ジャワ島、北京原人発見の場所中国周口店遺跡への旅の話に始まり、北京原人の骨の行くへの謎に迫ります。ええ。北京原人の骨が行方不明なんだって、ビックリしませんか。(ちなみに明石原人の骨もいまだ行方不明だって知ってました?私は先日、兵庫県立考古博物館を訪れた際に知りました。)
港川、中川、三ヶ日、浜北人の人骨から日本人の祖先を探ります。顎の大きさ、大腿骨の太さ、推定される身長の特徴、そして放射性炭素やウラニウム同位体による日本の洪積世人類の古さを推測されていきます。我ら日本人の祖先は、ほぼ2万年前に存在していた!ビックリ!
あの日本史に必ず出てくるモースの発見した大森貝塚からは縄文土器や石器にまじって多くの人骨が発見されています。それは人骨には切り傷があり、筋肉が剥離しにくいところでは、削った痕も見られ、日本の石器時代には食人が行われていた証拠なんだそうです。あーービックリ!
室町時代の遺骨は、反っ歯が特徴。江戸時代には少しずつ鼻根と鼻背が高く、反っ歯の度合いが少しずつ弱くなってくる。江戸時代末期から明治昭和とわずか100年で顔は次第に面長になり、鼻筋が通り、反っ歯は著しく改善されて現代人の顔が生まれてきたのだ。頭の形も長頭型から短頭型へ推移して来たらしい。
作者は世界遺産、平泉中尊寺金色堂の中に安置されている奥州藤原4代ミイラも調査されています。あの源義経を慈父の心で保護した藤原秀衡にもお会いになられています!少し開いた口元からは今にも義経に話しかけたのと同じ声が開かれるのではないかという錯覚を感じたそうです。そして源頼朝に応じた藤原氏家臣河田次郎の反逆で殺害された藤原泰衡の首を実況見分されているのだ。いやああ、歴史好きには堪りません!ビックリです!
すみません、興奮してきてご紹介が長くなって来ました。
戦国武将、石田三成は細面の優男、長頭で酷い反っ歯だった。ある意味まったく無骨なところが無く、むしろ女性と見まごうほど端正で、智者にふさわしい静けさが感じられるそうである。しかし、これまた骨が行方不明に。
芝増上寺徳川将軍家の墓と二代秀忠公、六代家宣公の華麗なるお姿!
皆さん見たくなったでしょ。見てみたいでしょ。ぜひ手にとって見て下さい。歴史をロマンや推測だけで語らずに実際に発掘された骨からすべてを推測する。これぞ考古学、これぞ歴史学と再認識できます。
いつもの如く、表紙で読者を睨むこの頭蓋骨は誰だ!って事でオススメです。