犬や猫につくダニには、目に見えるマダニなどの他に、肉眼では見ることが不可能で顕微鏡でしか発見できないヒゼンダニというダニがいます。通称、疥癬といわれます。
猫疥癬は、殆どの場合感染猫との密着・接触による感染です。
犬疥癬は、野原で野生動物(特にタヌキ)などが落としていった疥癬を偶然にも付着してしまう事で感染します。特に西播地域のように自然も多く、里山が形成されており、家の周りに普通に野生動物が見られる場所では結構見られる皮膚感染症です。
症状としては、”強い痒み”です。しかし感染初期では痒みだけが強く見られ、皮膚病変の発見できない事が殆どです。1-2ヶ月してくると耳の前端部部や肘などに強い痒みと共に皮膚の炎症と痂皮が見られてきます。この段階になると削り取った皮膚を顕微鏡で発見することが可能となり、確定診断されます。
疥癬の痒みは、ノミの寄生、アレルギー・アトピーの症状と共に犬猫の3大痒みのひとつです。
治療は、レボリューションの頻回投与やアイボメック(ウシ用しかありませんが)の複数回注射となります。初期にはなかなか確定診断することが出来ないので、状況と場合に応じて診断的治療としてお薬の投与を先に行う場合もあります。
予防は、ありません。普通のマダニなどは、ダニ駆除薬をしっかり使っておけば問題はありませんが、疥癬は予防方法もなく予防的に使用できる薬剤もありませんので、感染してしまった時は”運がわるかった”としか言えない感染症ですね。
痒みは非常に強いのですが、症状は命に関わることは全く無く、治療すれば確実に治癒しますので安心して下さい。
顕微鏡で見た疥癬(ヒゼンダニ) 画面上では大きな丸い胴体に、顔は左に向いてあります。