院長の寺田です。
先日、東京で行われました日本医師会・日本獣医師会による連携シンポジウム
「-人と動物の共通感染症を考える-狂犬病の現状と対策」
に参加してきました。
エボラ出血熱などの話題もあり、会場には溢れんばかりの参加者でした。日本では60年以上発生していない狂犬病ですが、まだ世界では最も恐ろしいウイルス性の伝染病のひとつであり、参加された海外の講演者からも切実な現状が話されておりました。
また、我が国では36年ぶりに発生した人の狂犬病事例における生々しい臨床経過、検査所見、解剖所見その際の予防法、課題なども講演されました。
人間が感染し発症するとそれはそれは恐ろしい症状を呈し、100%死亡します。我々も獣医師としてこれからも狂犬病予防注射の啓発と徹底を行わなければ行けないと深く思いました。
「狂犬病」
狂犬病は、今もなお世界中で毎年55,000人以上が死亡している動物由来感染症(人畜共通感染症)で、人間が感染・発症すると急性・進行性で脳炎・神経症状を呈し、致死率100%(10日で死亡)の伝染病です。
ほ乳類(犬、アライグマなど)に感染する狂犬病ウィルスが原因で、人の狂犬病の95%は犬の咬傷からの感染です。
広く行われている狂犬病の予防接種の目的は、犬への予防注射によって愛犬が狂犬病にかかることを予防し、加えて人への感染を防ぐことができます。
伝染病を防ぐ唯一の手立ては、「全体の70%以上の予防接種率により流行をを防ぐ。」だと言われます。現在かなりこの数字より日本は低いの現状です。
狂犬病予防接種は、国の狂犬病予防法で定められた国の防疫事業です。
飼い主には、狂犬病予防法によって以下のことが義務づけられています。必ず受けましょう。
1.市町村に登録すること
登録によって、どこの地域に何頭の犬がいることがわかり、狂犬病が発生した時に
まん延を防ぐ第一歩になります。登録すると「鑑札(かんさつ)」が交付されます。
2.犬に鑑札と注射済票を付けること
3.犬に毎年狂犬病予防注射の予防を受けさせること
それに伴い「注射済票」の交付を受ける。
①市町村への登録(鑑札交付)
②毎年の予防注射の接種
③市町村からの注射済票の交付
予防注射を受けると、その証明として市町村から「注射済票」の交付を受けなければなりません。
*市町村から発行される「注射済票」です。獣医師の予防接種証明書ではありませんのでご注意下さい。
*当院加入の西播開業獣医師会は、西播地域の各市町村から犬の登録及び狂犬病予防注射業務の委託を受けております。
注射と同時に、登録・鑑札や注射済票の交付が院内で行えます。ご利用下さい。
詳しくは、厚生労働省ホームページ「狂犬病について」をご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/