手術の術前検査、そして止血障害を疑う症例の検査として、血液が止まるか(凝固する)否かなどの検査を行います。
少し、それらについてご説明します。
先天的な病気と後天的な病気(何かの病気によって二次的に凝固障害が起こっている状態)とがあります。
「凝固検査項目一覧」①~⑤までを組み合わせて検査していきます。
(一次止血-血管・血小板系のスクリーニング検査)
①血小板数
②活性化凝固時間ACT:血小板異常、凝固因子欠損←今はやりにくい。
③出血時間BMBT:少し口唇を傷つけて止血までの時間を見ます。
血小板の異常(減少、機能異常)、VWD、血管壁異常で延長、血管収縮異常、血小板異常、凝固因子の異常のすべてを検出。
血小板減少症、高γグロブリン血症(多発性骨髄腫)、VWD検出
(二次止血-血液凝固系および線溶系の検査)
☆出血傾向が無い場合、正常値の約30%延長すれば異常と考えます。
凝固因子が20%以下に低下するとPTやAPTTは延長する。
④PT:外因系(Ⅶ)および共通経路(Ⅹ、Ⅴ、Ⅱおよびフィブリノーゲン)
先天性ではⅦ因子欠乏症、
共通系ではDIC、肝障害、VitK欠乏症、ワルファリン中毒など
⑤APTT:内因系の接触因子(PK、HMW-K、ⅩⅡ、ⅩⅠ)と凝固因子Ⅷ、Ⅸ
および共通系
先天性では、Ⅷ因子欠乏症(血友病A)、IX因子欠乏症(血友病B)、
ⅩⅡ因子欠乏症、XⅡ因子に関係するPK、HMW-K欠乏など
⇒出血傾向が無い健康な個体で、APTT延長の場合(その他検査も異常なし)
⇒出血時間BMBTを行う!
⇒異常あり ⇒VWDを疑う。
⇒異常なし ⇒専門機関にて、ミキシングテストと内因系凝固因子測定
⇒異常なし ⇒PK、HMW-Kの測定
☆もしそれでも手術する場合は、10-20ml/kgの輸血を行う。
遺伝性凝固障害
①von Willebrand病(vWD病)
von Willebrand因子の遺伝的欠損症
常染色体性の不完全優性遺伝疾患で、ホモで遺伝子を持つものは致死的(発症する)であり、ヘテロの動物は発症せずにキャリアーとして存在する。
type1(量的な減少)、type2(質的な異常)、type 3 (無産生)に大別される。
皮膚と粘膜の軽度の出血、消化管、泌尿器また耳道からの出血が見られるが、自然に起こる大量出血や血腫は特徴的ではない。不注意な手術期に出血が起こることが多い。
Wコーギー、Gシェパード、プードル、スコティッシュテリア、ショットランドS
出血時延長、APTT正常から延長
遺伝子検査:三菱化学メディエンス、カホテクノ、
治療:DDAVP(酢酸デスモプレシン)1μg/kg SC
②血友病A(第Ⅷ:c因子欠損症)
伴性遺伝するX染色体性劣性遺伝疾患であり、雄