犬・猫の重症熱性血小板減少症候群 SFTSについて
これまでも何度かHPにおいても注意喚起しております犬・猫の重症熱性血小板減少症候群について再度お知らせしておきたいと思います。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、SFTSウィルスによる感染症です。ヒトにおいて2013年に初めて日本国内で報告され、西日本を中心に年間100例以上に感染が確認されています。また、ヒトだけでなく野生動物、犬・猫にも感染が見られ、その感染動物からヒトへの感染が見られるなど公衆衛生の観点から大変注目されています。
兵庫県では猫27頭、犬7頭の発生(2024/12月)が報告されています。当院においても5年間で5例、そして今月、6頭目の発生が確認されました。
「感染経路」
ウィルスを保有する「マダニ」に咬まれることで感染します。
また、感染動物の血液・体液(尿、糞便など)との接触による感染も見られています。
マダニ⇒ヒト 感染したヒト⇒ヒト
マダニ⇒犬・猫 感染した犬・猫→ヒト
「症状」
ヒト、犬・猫においても同じような症状で、重度の発熱・元気食欲低下や消化器症状(嘔吐下痢など)、血小板減少、白血球減少などが主な症状です。出血傾向や意識障害を伴い、死亡することがあります。
ヒトの致死率 約27%
犬の致死率 約30%(症例数が少ないのでまだ不明)
猫の致死率 約60-70%
「診断」
臨床症状(重度の発熱、元気食欲低下など)、血液・生化学的検査(血小板減少、白血球の低下、肝酵素の上昇、黄疸など)で疑われるなら、血清によるRT-PCR検査(当院では、国立感染症研究所)を行います。
「治療」
犬・猫において、治療法はいまだ確立しておらず、自然治癒するまでの対症療法(点滴など)
「まとめ」
特に猫の感染が近年増加傾向で、感染猫の致死率はとても高い傾向にあります。また、感染猫からの飼い主への感染、獣医療関係者への感染が散発的にみられています。
特に猫においては重篤な症状を呈し、犬よりかなり多くの発生が見られています。まずは、ダニによる刺傷(寄生)が起こらないようにすることが一番大切なポイントです。
猫は、特にペットととして飼育する猫は室内飼いを徹底してください。不定期でも屋外に出すことでダニからの感染が起こる可能性があります。
また、ノミ・マダニ駆除剤の定期的投与は必ず行いましょう。
ヒトにおいても農作業やハイキングなどの際にはダニに注意し、肌を出来るだけ出さない様にしましょう。
以下、情報提供です。