院長の寺田です。
24日、25日と大阪で行われました第12回日本獣医がん学会に参加してきました。
メインテーマは「副腎腫瘍」でした。副腎とは腎臓の少し頭腹側にある多様なホルモンを分泌する組織で、それはそれは大切なホルモンを分泌しているのですが、近年人医と同様に副腎の病気も診られるようになりました。多くの副腎疾患の中で今回は、副腎に起きる腫瘍がメインテーマでした。
獣医医療では、褐色細胞腫が急性の腹腔内の出血で見つかることが多いのですが、最近では症状を呈した副腎腺腫や副腎腺癌なども見つかるようになって来ています。
原発性副腎腫瘍の発生率は0.17-0.76%と少なく、猫では0.03%とさらに少ないとされています。また、治療は外科手術による摘出となるのですが、術中死亡率は10%、入院期間死亡率は20%と高いものです。実際には手術を迷われる飼い主様もあり、当院での副腎腫瘍手術実績は15年間で3例です。
われわれ獣医医療にも超音波検査(エコー検査)だけでなくCTやMRI検査、インターベンション(血管造影技術)放射線療法などが行えるようになり、それらを踏まえて良性の副腎腺腫から悪性の副腎腺癌や褐色細胞腫などの診断・治療が今回討論されました。
今回の学会討論を聞いていても、CTやMRIの画像(各種造影検査)を使って確実に診断するにはかなりの診断技術と経験を持っていないと駄目な事が分かります。また、進行した症例では、その治療(外科手術)もかなり侵襲度の高い(動物の負担になる)ものである事が分かりました。
(人医と違って、1kgの体重の犬の副腎腫瘍を診断・治療したり、物言わない動物なのでかなり進んだ症例もあります。まして少ない症例数からも経験していかなければいけないのですものね。)
当院では、”私の信頼の置ける診断と治療技術のある施設” もご紹介しております。ご希望されましたら、ぜひお申し付け下さい。
今日も心臓の僧帽弁閉鎖不全の修復手術(心臓を停止し、低体温化での開心術)を無事終えられ、専門二次病院から退院して来られた飼い主様とワンチャンが元気な姿を見せてくれました。心雑音も無くなり以前のようにしっぽを振り振り、愛想振りまくワンチャンをみるとホッとします。
的確に迅速に専門・二次病院にお勧めできるように心がけております。