日本獣医がん学会に参加してきました。学会になる前の研究会の頃から参加して勉強させて頂いております。
今回は、招待公演「低侵襲腫瘍外科」、シンポジウム「肥満細胞腫」ということで最新の治療から古くて新しい腫瘍の話と盛りだくさんでした。
低侵襲腫瘍外科としてはやはり腹腔鏡を使った手術が我々獣医療でもどんどん導入されてきております。トレーニング施設、指導医、技術判定といった問題がまだまだ残っていますが、低侵襲を積極的に望まれ、少なからず費用に納得される飼い主さま(当然動物にも)には期待の技術です。当院でもしっかりトレーニングを受けることが出来る様になれば導入していきたい物です。
肥満細胞腫は犬に多く見られる腫瘍の一つです。名前は良性のような名前ですが、犬の場合、殆ど悪性としてあげられます。最も多く見られるのは皮膚のできものとしてです。皮膚の腫瘍同様、痛くも痒くもないので見過ごされることの多い物ですが、小さな物からビックリするぐらい大きい物、小さな皮膚のしこりから潰瘍になった物まで様々な形態をとります。
また、手術で切除してもまた出来たり、違うところに出来たり、病理学的に安心できる物でもどんどん悪性の挙動をとったりと獣医師また飼い主さん鳴かせの腫瘍です。
今回も話されていましたが、やはり早期の発見、迅速で的確な細胞採取により検査、拡大手術(これが一番大切で大変)、そして摘出材料からの病理診断(組織診断)といった治療と診断の同時進行が一番肝心です。最近ではC-kit癌原遺伝子の突然変異を伴った物が肥満細胞腫の全体の1/5ほどあり、それらに効果のあるお薬もあることが注目されています。