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2007/3/7 水曜日

  てんかん

「てんかん」
てんかん発作とは、さまざまな原因によって発作(脳神経細胞が無秩序に興奮・命令することによって起こる発作)を繰り返す病気です。
1.特発性てんかん
   いろんな検査をしても特に何も原因がないのにてんかん発作が起こるタイプ。犬のてんかんのほとんどはこのタイプ。原因は分っていない。遺伝的な要素が関連していると考えられている。特発性てんかんではこの「てんかん発作」以外に全く症状がないことが特徴。
2.症候性てんかん
   内科的な疾患や脳の外傷や脳腫瘍、脳炎、水頭症などの原因によって2次的に引き起こされるタイプ。症候性てんかんでは発作の原因となる病気が他にあり、他の症状があることがほとんどです。
 
てんかん発作のタイプ
1.全般発作
   最も多いのが全般性強直間代性発作です。
① 始めに全身(特に前足と後ろ足)がピーンと伸びて、横転したり、後ろへひっくり返って、足や口を細かくガタガタと震わせる(これを強直性けいれんといい、数十秒続く)。
② その後手足の屈伸運動や犬かきをして泳ぐような運動が続く(これを間代性けいれんといい、これも数十秒から数分続く)。この時、その動物には意識はなく、目の瞳孔は開き、失禁したり脱糞したり口から泡を吹いたりする。
③ これが終わるとケロッと普段の状態に戻ったり、しばらくもうろうとした後にだんだん普通の状態に戻る。

2.焦点性発作(部分発作)
   脳の一部分が興奮することによって起こるタイプ。全般性発作と違って全身がけいれんしたりするわけではなく、体のある場所だけが起こします。例えば、前足だけがけいれんしたり、咀嚼運動(チューインガム発作)や顔面けいれん、大量のよだれ、散瞳、チック、尾追い行動などもあります。
 
 ほとんどの犬猫は何の前ぶれもなくてんかん発作を起こします(寝入るとき、寝ているとき、寝起き時に多いことが知られています)。前兆が認められる場合も在るにはありますが。

てんかん発作を始めて見る飼い主さんは、「死んでしまうのでは…?」と思いがちですが、通常1回のてんかん発作で死んでしまうこと余りありませんので安心してください。
しかし、何度も同じ日に繰り返したり、10分以上止まらないなどの場合は、すぐに病院に罹って下さい。

以下の症状が見られる場合。

群発発作:ある一定の期間(例えば1ヶ月)に一度、「数日にわたって発作がめちゃくちゃな回数繰り返す」というもの。
発作重積:「1回の発作が30分以上続く」あるいは「1回の発作の後、すぐに次の発作が始まってしまう」というもの。
犬や猫が群発発作や発作重積を起こした場合はすぐに動物病院に行くことが必要です。

てんかんの診断法
1. 問診
    大抵、病院に来られた時やお電話での相談を受けた時には、発作が終わっていることがほとんどなので、獣医師がてんかん発作を目にすることはあまり無いのです。よってひつこいほどに飼い主さんに問診を行います!

飼い主がしっかりと犬の状態を観察しておく事が重要です。
・ どんな症状か?全身性か部分性なのか?
・ 意識はあったのか?
・ 失禁は?
・ 何分続いた?
・ 何か前兆はあったか?
・ 発作後の様子は?
・ 最近食事の変化は?
・ ワクチンは?
など色々お聞きします。

2.身体検査・神経学的検査
特発性てんかんと症候性てんかんを区別するのに重要。

一般に、特発性てんかんでは神経学的検査で異常が見られることは無く、逆に症候性てんかんでは神経学的検査で異常が検出されることが多い。

3.血液検査
① 血液からわかる異常によって起こる発作の原因を除外するため(例えば、低カルシウム血症や高脂血症、低血糖、貧血、高アンモニア血症などはてんかん発作に似た症状を示すことがあります)。また、ウィルス感染でもてんかん発作を起こすことがあるので、ウィルスに感染しているかどうかを調べることもあります。

 ここまでの検査で「身体検査・神経学的検査・血液検査」ともに異常が無ければおそら
く「特発性てんかん」、「身体検査と血液検査が正常、神経学的検査で異常」であれば「症
候性てんかん」と仮診断できます。

大体は問診と異常の検査で大まかな診断がつきますが、以下の検査も行う場合もあります。
CT,MRI検査。脳波検査。脳脊髄液検査。

てんかんの治療法
1:特発性てんかんの治療
   特発性てんかんの治療は、てんかん発作を抑えて、てんかん発作繰り返されることによって脳が壊れてしまうのを防ぐために行います。「抗てんかん薬」と呼ばれる薬を使います。
  てんかんを治すのではなく、てんかんを止めるのが治療の目的になります。
* 「てんかんの治療」というと「てんかんが完全に治る」と思われることが多いのですが、それは誤解です。
*  抗てんかん薬による治療の目的は、発作の頻度を少なくする、あるいは1階の発作の強さを弱くすることで、完全に発作がなくなることはほとんどありません。
* 一生涯のみ続ける場合がほとんどです。

2:症候性てんかんの治療
 症候性てんかんは脳に何かがあっててんかん発作を繰り返したり、内科疾患によって引き起こされる、原因を取り除くことが第一になります。

「発作が出た時どうすればいいですか?」と聞かれることがありますが、「特に何もすることはありません」。
触ったり、抱いたり、声を掛けり絶対にしないで下さい。
飼い主は落ち着いて!その様子をしっかり観察するようにしてください。
何月何日何時頃、どのような発作を、どのくらいの時間起こしたのかなどを記録してください。
発作中の動物に手を出すことは危険です。発作中は意識がありませんし、筋肉が勝手に動いているので咬まれることがあります。
てんかんと診断されても、特に生活を変えないでください。
てんかんの治療は飼い主の冷静で落ち着いた観察が一番必要です。