いぬの乳腺(乳房)は、左右両側に4から5対ありそれぞれがつながって脇の下から脚の付け根まで伸びています。
この乳腺にできる腫瘍は、乳頭の周囲や前後の乳腺の間に固めのしこりが触れられるのが特徴です。
「乳腺の腫瘍はすべての腫瘍の中でも52%を占め、 犬の発生率第一位の腫瘍です。」
発症年齢は平均10才ですが、5才を超えると要注意。
生まれたて初めての発情、2回目の発情までに避妊手術を行うと、98%以上乳腺腫瘍は発生しません。
乳腺の腫瘍には良性のものと悪性のものがあります。
悪性のもの、いわゆるガン(乳がん)である確率は約50%であるといわれています。
しこりは急速に大きくなる場合もあれば、長い間大きくならなかったしこりが突然大きくなり始める事があり、この場合も乳がんの可能性が疑われます。
*乳腺にしこりを見つけたら、小さいうちに獣医師の診察を受けましょう。
乳 が ん は ど う や っ て 調 べ る の ?
ガンの確定診断をつけるには、しこりの一部を採取し、病理検査を行います。しかし乳腺にしこりが複数ある場合、治療の目的も兼ねて乳腺を大きく切り取り(予防処置)、手術後に摘出したしこりで病理検査を行う事が多くの場合適用されます。
手術前には必ずレントゲン検査、超音波検査などでほかの臓器に転移していないかどうかを確認します。
もし肺などに転移があれば、今後の治療方針が変わってきます。
乳 が ん は ど う や っ て 治 す の ?
ガンが疑われる場合は、しこりの部分だけ切り取るのでなく、まわりの健康な組織も含めて乳腺ごと切除します。
直径1cm以下の大きさのガンであれば、手術を受ける事で殆ど完治します。
乳 が ん の 早 期 発 見 と 予 防 は で き る の ?
愛犬が5歳以上なってる場合は、月に一度、おなかをなでるついでに乳腺を優しくつまむようにしてしこりの有無を確認してください。乳がんの発症にはホルモンの分泌が関連していることもあり、もし発情がくるたびに乳腺のしこりが大きくなるようなら、ホルモンの分泌源である卵巣子宮の摘出(避妊手術)を行ったほうがよいでしょう。