寺田動物病院
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2015/12/11 金曜日

  No.50 犬の平均寿命について

こんにちは、院長の寺田です。

昨日はノーベル賞の授賞式がありました。凍りそうな北欧の気温のなか、いつ見てもなんとも素敵で高潔な式典でした。

先日にも書きましたが、大村先生の発見された放線菌の産物であるアベルメクチンを基に合成されたイベルメクチン製剤は、犬のフィラリア症の予防にとって画期な貢献でした。

犬の寿命の延びについては、詳細な解析をしてみなければ分かりませんが、イベルメクチン製剤の月に1回の予防薬の投与によりフィラリア症が飛躍的に予防できるようになったのが事が大きな要因であることは間違いありません。

<犬の平均寿命>

1986年  6.5歳 (イベルメクチン製剤発売前)

1987年  イベルメクチン製剤の発売

2009年 15.1歳

日獣会誌64(2011)より

北里大学HP 大村先生インタビュー

http://tv.kitasato-u.ac.jp/channel.html?c=6#l0R1yBt0tm8

 

2015/11/14 土曜日

  No.49 新入りです。まだまだ馴れません~

2015/10/13 火曜日

  No.48 ノーベル賞 追記

近年、犬の寿命が約10年伸びたのはこのお薬のおかげです。

ノーベル生理学・医学賞を授賞された北里大学特別栄誉教授 大村智博士は、静岡県の土壌から放線菌を発見し、メルク社と共同でこの放線菌が生産する抗寄生虫薬エーバメクチン、イベルメクチンを発見・開発し製剤化されました。

「線虫の寄生によって引き起こされる感染症に対する新たな治療法に関する発見」が受賞理由です。

 

「イベルメクチンの人類への貢献」

 

①人類の食料の増産・確保への貢献

イベルメクチンは、人間の食料である家畜(牛・豚・馬・山羊・羊)の消化管内寄生虫(お腹の虫、回虫・糞線虫など)と皮膚病の元になる疥癬・ダニを駆除します。

これにより家畜の発育促進・健康増進がすすみ、食料の増産と確保が飛躍的に進みました。

世界中の家畜に最も使われているお薬で、メリアル社は家畜への使用から得られた利益でアフリカの人々へのイベルメクチン製剤の無料配布が行えるようになりました。

 

②人類の健康と福祉への貢献

イベルメクチンは、人間の寄生虫の病気である熱帯地方の風土病オンコセルカ症(河川盲目症)、また皮膚病である人疥癬を駆除します。

オンコセルカ症とは、人間に回虫である回旋糸状虫による感染症です。河川で繁殖するメスのブユが人を刺して感染し、激しい痒みリンパ節の腫れ、視覚異常、失明を引き起こします。

前述のようにこの病気の撲滅プログラムにメルク社と北里研究所から無償供与され、世界中では毎年約3億人が服用し、この感染症の撲滅に多大なる成果をあげています。

 

③犬フィラリア症の予防への貢献

イベルメクチンは、犬のフィラリアを予防します

現在多くの犬に投与されているフィラリア予防薬は、この製剤とその改良型の製剤です。

近年、犬の寿命が約15年に延びた長寿化の要因は、このお薬によるフィラリア予防の効果です。(1980年代以前の犬の寿命は約5-6年でした)

人間の福祉に大変重要であるペット(伴侶動物・コンパニオンアニマル)の健康を守ることで、人類の健康と福祉に大変貢献しています。

 

④世界の皮革産業への貢献

前述したようにイベルメクチンは、牛や馬の寄生虫疥癬(カイセン)やダニを駆除します。

疥癬やダニは、牛や馬の皮膚に寄生し、皮膚炎を起こします。このお薬により疥癬・毛包虫やダニが駆除されることにより、皮膚いわゆる皮(革、原皮)の状態が飛躍的に改善、世界の皮革産業の発展に多大なる貢献をしました。

*たつの市の地場産業である皮革産業へも貢献しています。

 

このように人間の健康だけでなく、家畜、ペット、そして我々の産業にまでも大きな貢献がなされたお薬なのです。

2015/10/6 火曜日

  No.47 ノーベル賞

昨夜、ノーベル医学生理学賞を北里大学特別名誉教授の大村智先生が授賞されました。本当に日本人として喜ばしく思います。

大村先生の発見・開発された「イベルメクチン」は、ニュースで報道されているように動物特に家畜の寄生虫駆除に”奇跡のような”貢献をしております。今でも牛・馬・山羊・羊には定期的に投与されており、家畜の健康を守ることで、人間の食料確保に多大なる貢献をしております。また、牛の疥癬(疥癬という小さなダニによる皮膚病)治療薬でもあり、世界の皮革産業の発展にも寄与しています。世界で最も使用されているお薬の1つです。

また、人間にとっては、風土病であるオンコセルカ症の治療薬として使われております。毎年3億人に投与され、2020年にはこの病気の撲滅が予想されています。また、人の皮膚疥癬、糞線虫といったお腹の虫の駆除にも使われております。

私が言うまでもなく、ペニシリンを発見したフレミングに匹敵する発見だと思います。

 

さらにこのイベルメクチンは、犬や猫にとっても奇跡のお薬です。

皆さんの大切な愛犬が毎月飲んでいるフィラリアの予防薬は、このイベルメクチン(またはその発展した成分)が使われています。

最近では知られていませんが、フィラリアを予防するいうことが今から約30年前には全く出来なかったんです!

私と同じ年齢の方そしてそれ以上の方は共感して頂けると思いますが、子供の頃の犬の寿命は7-8年以下でした。10年生きたらいやあ~長生きだなって。かなりな確率でフィラリアで犬は死んでいました。

それが今では14-5年と長寿になっています。世界中の犬の寿命の長寿化(高齢化)は、このお薬のおかげといって間違いありません。

それはひとえに、大村先生が見つけられた「イベルメクチン」製剤によるフィラリア予防が出来るようになったからなんです。

家畜、ペット、そして我々人類の健康に奇跡の様な貢献をしてくれているお薬を発見してくださいました。

北里大学は私の母校でもあるのですが、イベルメクチンの薬としての素晴らしさ、サンプリングのやり方、発見場所の川奈での話など、私の在学中(約30年前)から有名で、数年前から授賞候補にも挙げられていました。

ホントに授賞、おめでとうございます。

 

2015/10/2 金曜日

  No.46 身近にある中毒

犬や猫は身近にある物を囓ったり、舐めたりして誤食することがあります。

室内にある物を囓ったり食べたり、飼い主の薬を盗み食いしたり、散歩の途中にある草花やその他の拾い食いしたり、様々なケースがあります。

1つ覚えておいて貰いたいことは、症状が出るのか出ないのか、治るか否かなどはかなり個体差があると言うことです。

①殺鼠剤による中毒

クマリン系の抗凝固性殺鼠剤。ワルファリンなどが有名です。凝固障害、いわゆる血が止まりにくくなるのが特徴です。

摂取後1-3日後に発症することが多く、鼻出血、吐血、下血、皮下出血、口腔内出血、眼出血、消化管内、関節内、脳内、胸腔内、肺出血、脳内出血なども見られます。

拮抗薬はありますが、症状が強く見られる場合は救命出来ないこともあります。

②チョコレート中毒

チョコレートに含まれるテオブロミン、カフェインなどのメチルキサンの過剰摂取による中毒です。

急性の消化器症状(嘔吐下痢など)、循環器症状(頻脈、不整脈、多呼吸など)、神経症状(興奮、不安、痙攣など)などが見られます。

中毒量は正確に把握されているわけではありません。1kgの犬が板チョコ1枚(よくある明治の板チョコ)ぐらいとも言われています。それぞれの犬の感受性にもかなり差があるみたいです。

ちょっと食べたぐらいで症状が出たりしませんが、最近ではカカオの濃度の強いチョコが発売されています。ご注意下さいね。

室内飼育の犬にとって一番リスクのある中毒とも言えますが、”飼い主さんの責任でしかない中毒”です。

気を付けて下さい。

③キシリトール中毒

食品、ガムなどに多く使われている甘味料です。犬においては、インスリン分泌を促進し、低血糖を起こすことがあります。

これもかなり感受性に個体差があります。食べた製品の含有量によっても全く違いますが、100%の製品なら1-2粒でも症状が出ることがあります。

これも飼い主の責任になる中毒ですね。

④エチレングリコール中毒

自動車の不凍液が一番有名ですが、最近の多いのがアイスノンなどの一部の保冷剤に多く使われます。

夏場に犬の暑さ対策に多く使われ、それを囓ったり食べたりする事によって中毒を起こします。

嘔吐、沈鬱と言った軽い症状から、急性腎不全(嘔吐、乏尿など)などを呈します。

腎不全まで行ってなければ予後は問題ありませんが、腎不全が見られる場合、死亡率は猫97%、犬50-70%と言われています。

⑤タマネギ中毒

ネギ類(タマネギ、ニンニク、ネギ、ニラなど)、カリフラワー、ブロッコリー、キャベツ、カブ、からし(マスタード)、クレソン、わさびなどで起こすことがある中毒です。

これらの食品を”多量”に摂取した場合、元気食欲低下、呼吸困難、貧血、黄疸などが見られます。

特に溶血性貧血によってコーヒーや醬油色の尿が見られることがあります。

⑥ブドウによる中毒

最近、ブドウによる中毒が報告されています。

果物としてのブドウ、そしてレーズン、干しぶどうでも起こります。

摂取後6-12時間で嘔吐、下痢などが起こり、数日後に急性腎不全(高リン・高カルシウム血症など)を起こします。

どれくらい食べれば中毒を起こすのかまだ正確には分かっていませんが、ブドウ1房の皮を食べて症状が出た犬も報告があります。

 

 

 

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