院長の寺田です。
桜の季節が過ぎ、早春の薫り漂う季節となりました。山に上がるとむせ返る様な木々の匂いが充満しており、生命を感じる新緑の季節ですね。
今月のオススメ図書は、藤城清治 著 ぶどう酒びんのふしぎな旅 です。
原作は、あのアンデルセンです。物語はある老婆の家から始まります。老婆の飼い鳥の水飲み様に窓辺に置かれた壊れかけたビンは、実は、老婆が若かりし頃、自分の結婚式で使われたぶどう酒瓶だったのです。あの幸せな結婚式のあと、次々と人の手に渡りながらぶどう酒びんは旅をしていく。いろんなヒトの人生の一瞬を旅し、いつの間にか欠けらのようになっていく。幸せな結婚式を挙げた少女もいつの間に老婆に。老婆があの幸せな結婚式のあといろんな人生があったように。
アンデルセンの童話は、生きる力強さと悲哀を感じさせてくれます。僕の母親は小さい頃から本当に沢山の本を買ってくれました。その中にはアンデルセン童話集もありました。今の自分という人間の基礎を作ってくれたのは、あの母が子供の頃に買ってくれた沢山の本達であり、母には本当に感謝しています。
今は、ディズニーなど沢山の素敵なアニメがありますが、ぜひ皆さんもお子様達に世界中の絵本そして童話を読んであげてくださいね。たつの市立図書館は、沢山の素敵な本達が待っていますよ。
さて、今回ご紹介した絵本は講談社より出版されているもので、僕の敬愛して止まない藤城清治先生の物です。言わずとしれた切り絵、影絵作家である先生は、今年89歳。いまだ現役で数々の素晴らしい作品を送り出しておられます。僕も先生の作品の中で大好きな作品を一つ持っています。その絵を見るといつも癒されます。この絵本は、そんな先生の切り絵がふんだんに使われ、アンデルセンの世界をよりいっそう深い物に仕上げています。
実は、藤城先生のご自身の美術館が4月26日栃木県那須にオープンします。いつか早いうちに僕も行ってみたいと思っています。来週に迫ったゴールデンウィークにまだ旅行先を決めていない方、良かったら僕より先に訪れてみられてはいかがですか。
明日から待合にもこの絵本を置いておきますね。ぜひ手にとって、藤城ワールド、アンデルセンの世界を見てみて下さい。そしてぜひ、お子様に読み聞かせてあげてください。オススメです。そうそう、僕は今でもケロヨン、好きです。