外耳炎・中耳炎
犬や猫では、耳の問題(外耳炎・中耳炎など)は殆どが「皮膚科疾患・皮膚病」のひとつとして起こっています。また、アトピー、アレルギーのひとつの症状として外耳炎は頻繁に起こり、慢性化することによって中耳炎が起こって来ることが大半です。
目で観察できる部分は、耳介と耳道入り口だけで、犬の耳道は、人間の耳道よりも何倍も長く深い物です。
垂直耳道、水平耳道そして鼓膜を検査する事は、犬にとって嫌な行為なのです。
よって、鎮静・全身麻酔下で検査や治療を行う事があります。
外耳炎の発生要因
不適切な耳掃除、シャンプーのやり過ぎ、内分泌疾患、耳ダニ、毛包虫、そしてアトピー、食物アレルギー、角化異常(脂漏症)、自己免疫疾患、細菌感染、酵母感染、アポクリン汗腺の過形成、中耳炎など
*特に、アレルギー・アトピー性皮膚炎のひとつの症状として外耳炎のみを主症状として訴える場合もあります。
アトピー症例の3-5%、食物アレルギーの25%は、外耳炎のみを症状として訴える。
①問診
・自宅での環境:耳掃除の方法(過剰な掃除・清拭、耳の洗いすぎ)
*綿棒や耳掃除用ティッシュによる過剰な掃除は、外耳炎の原因となります。
・左右対称性:基礎疾患に伴う外耳炎は両側に起こり易い
・外耳炎の既往歴:いつから、季節性など
・皮膚症状の有無:角化異常、アレルギーに関連した皮膚症状
・全身状態:中耳炎の症状(斜頸、聴力)、基礎疾患の有無(多飲多尿、元気食欲)
②検査
・外観観察
耳介、耳道入り口の観察
耳漏(分泌物)の性状
・耳垢検査(耳垢細胞診):耳ダニ、上皮細胞、炎症細胞、微生物(細菌、酵母)
・耳鏡検査:耳道内の観察・異物や腫瘍の有無・鼓膜の観察
○簡易型耳鏡(診察内で一般的に使用します)
○オトスコープ(耳道用硬性鏡) 細径硬性鏡 (鎮静・全身麻酔をして行います)
詳細に耳道内が検査観察、材料採取・洗浄・治療が同時に行います。
鼓膜の詳細な観察が可能、鼓膜裂傷・鼓室洗浄など中耳炎の診断治療が行えます。
*当院では、オトスコープでの治療を特徴としております。
・細菌検査:培養/抗生物質感受性検査
・レントゲン検査(殆どの場合鎮静・全身麻酔)
・CT検査(全身麻酔)
・アレルギー検査
③治療
・抗生剤、抗炎症剤などの内服
・抗生剤、抗炎症剤の点耳、外用塗布
・耳道洗浄 ○自宅での洗浄 ○院内での洗浄 ○全身麻酔下での洗浄
○オトスコープでの洗浄 →複数回の洗浄が必要
・食事療法 アトピー、アレルギーの症例
・外科手術 最終的には各種手術が必要なこともあります。
*慢性化した外耳炎の症例では、適切で根気強い治療が必要であり、数ヶ月~数年など長期の継続治療が必要なことがあります。