寺田動物病院
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2015/1/26 月曜日

  No.5 日本獣医がん学会 参加

院長の寺田です。

24日、25日と大阪で行われました第12回日本獣医がん学会に参加してきました。

メインテーマは「副腎腫瘍」でした。副腎とは腎臓の少し頭腹側にある多様なホルモンを分泌する組織で、それはそれは大切なホルモンを分泌しているのですが、近年人医と同様に副腎の病気も診られるようになりました。多くの副腎疾患の中で今回は、副腎に起きる腫瘍がメインテーマでした。

獣医医療では、褐色細胞腫が急性の腹腔内の出血で見つかることが多いのですが、最近では症状を呈した副腎腺腫や副腎腺癌なども見つかるようになって来ています。

原発性副腎腫瘍の発生率は0.17-0.76%と少なく、猫では0.03%とさらに少ないとされています。また、治療は外科手術による摘出となるのですが、術中死亡率は10%、入院期間死亡率は20%と高いものです。実際には手術を迷われる飼い主様もあり、当院での副腎腫瘍手術実績は15年間で3例です。

われわれ獣医医療にも超音波検査(エコー検査)だけでなくCTやMRI検査、インターベンション(血管造影技術)放射線療法などが行えるようになり、それらを踏まえて良性の副腎腺腫から悪性の副腎腺癌や褐色細胞腫などの診断・治療が今回討論されました。

今回の学会討論を聞いていても、CTやMRIの画像(各種造影検査)を使って確実に診断するにはかなりの診断技術と経験を持っていないと駄目な事が分かります。また、進行した症例では、その治療(外科手術)もかなり侵襲度の高い(動物の負担になる)ものである事が分かりました。

(人医と違って、1kgの体重の犬の副腎腫瘍を診断・治療したり、物言わない動物なのでかなり進んだ症例もあります。まして少ない症例数からも経験していかなければいけないのですものね。)

当院では、”私の信頼の置ける診断と治療技術のある施設” もご紹介しております。ご希望されましたら、ぜひお申し付け下さい。

今日も心臓の僧帽弁閉鎖不全の修復手術(心臓を停止し、低体温化での開心術)を無事終えられ、専門二次病院から退院して来られた飼い主様とワンチャンが元気な姿を見せてくれました。心雑音も無くなり以前のようにしっぽを振り振り、愛想振りまくワンチャンをみるとホッとします。

的確に迅速に専門・二次病院にお勧めできるように心がけております。

 

2015/1/22 木曜日

  No.4 今日の寅さん

そんなところで何やってるの?028

2015/1/17 土曜日

  No.3 あの日から20年

阪神淡路大震災で亡くなられた方々に、今日この日にもう一度、哀悼の意を表します。

いろんな思いを抱き、いろんな努力をそれぞれが行い、復興という言葉と共に、懸命に歩んできましたね。あの日までの様に復旧し、あの日よりも復興したのでしょうか。実際に被災された方々、直接的にも間接的にも係わった方々、そして日本の国民みんな。

私には分かりませんが、子供たちには語り、語り継ぎ、そしてその為に設立された人と防災未来センターで学び続けることの大切さを続けて行きたいものです。

阪神淡路の震災の周期は1200-3000年と言われているそうです。東北大震災などのように、日本は地震から逃れられない国土です。その時のために。”共助”

2015/1/10 土曜日

  No.2 肥満

20100821151152adc201008211511521c8 肥満Obesityとは、正常な状態に比べて体重が多い状態、脂肪が過剰に蓄積した状態を言います。

肥満率 犬20-40% 猫40-52%

原因 ①過食  ②運動不足

肥満から引き起こされる疾患

高血糖、高血圧、脂質異常(中性脂肪TG、総コレステロールTCの高値) 糖尿病、脂肪肝(引き起こされる肝不全、腫瘍)、変形性関節症など

犬と猫のメタボリックシンドローム判定基準

・肥満(正常体重の10%以上、BCSが3以上)

1)犬・猫 Glu(血糖値) >120mg/dl

2)犬・猫 TG>165 3)

犬 TC>180・猫>200

4)犬・猫 ALT>100IU/L

犬より猫で怖い肥満!

犬(雑食)と猫(肉食)は、全く違う生き物です。 猫は肥満から糖尿病に非常になりやすい。

犬 1型糖尿病(インスリンが分泌されない)が多い。

猫 2型糖尿病(インスリンが効きにくい・インスリン抵抗性)が多い。

*2型糖尿病の原因:過食、運動不足による肥満、ストレス、加齢などが原因で インスリンが分泌されても作用しにくい状態になっている。

肥満の治療

①飼い主の強い熱意!

②適切な食餌:医学的に作られた処方食の使用も考慮

③適切な給与方法:1日量を決めて、3回以上に分けて与える。

④運動!運動!運動!(特に犬は)

⑤2週間ごとに体重測定

2015/1/3 土曜日

  No.1 僧帽弁閉鎖不全症

犬の僧帽弁閉鎖不全症

 

犬の心不全にはいろんな原因があります。心不全とは、病気の名前ではありません。全身に血液を送ったりもどしたりする心臓の働きが低下し、何らかの症状がみられた状態(症候名)を言います。

 

心不全の原因として

①右心不全  フィラリア症、肺血栓症、心筋症、など

②左心不全  僧帽弁閉鎖不全症、心筋症など

また、左心不全から右心不全を併発したりすることもあります。

 

心不全の症状としは、

①右心不全  腹水、胸水、むくみ、浮腫、肝腫大など

②左心不全  咳、運動不耐、失神、肺水腫、呼吸困難など

また、その両方の症状

などが見られます。

 

特に犬で一番多いのは僧帽弁閉鎖不全症です。

 

「犬の僧帽弁閉鎖不全症」

僧帽弁とは、左心房・左心室の間にある弁です。

 

心臓の血液の流れ

心臓には4つの部屋に分かれており、

肺→左心房→(僧帽弁)→左心室→大動脈で全身へ  全身から大静脈→右心房→右心室→肺

 

もう少し詳しく書くと

各部屋にはドアのような役割をする弁があり、血液を押し出す時に逆流しないように閉まる働きがあります。

 

左心房→僧帽弁開く→左心室へ血液流入→僧帽弁閉じる→心臓が収縮→大動脈から全身に血液を送り出す

 

と言った経路です。

 

僧帽弁がきちっと閉じることで、心臓の収縮の時期に前方に血液が勢いよく出て行きます。

 

僧帽弁閉鎖不全症とは、僧帽弁・弁輪部・左心房・弁の腱索などの異常により、僧帽弁の閉鎖が障害される病気です。

僧帽弁の粘液腫様変性が最も多く発生します。

 

僧帽弁閉鎖不全症は、僧帽弁の異常によりきちんと閉まらずに、血液が左心房に逆流してしまう病気です。

 

①血液の逆流→心雑音  聴診時に心雑音として聞こえます。

②左心房への逆流→左心房の拡大  レントゲン検査で、心肥大が見られます。

進行すると症状が見られてきます。

③心肥大→気管支の圧迫→  興奮したり騒いだ時に咳が見られるようになります。

④左心房への逆流→肺から血液が戻り難くなる→肺に血液がうっ滞する→肺水腫

→安静時にも咳、呼吸困難

原因  正確な原因は不明ですが、老化(加齢)と遺伝が関与。

 

多発犬種

キャバリア、マルチーズ、プードル、ダックス、チワワ、シーズ、ポメラニアン

ヨークシャテリア、シュナウザーなど

 

 

 

ステージ分類(状態の指標)

ステージA  現時点では問題なしだが、好発犬種

ステージB1 心雑音有り、臨床症状無し。レントゲン検査、エコー検査で問題なし。

ステージB2 心雑音有り、臨床症状無し。レントゲン検査、エコー検査で異常あり。

ステージC  心不全の症状有り。もしくは症状を呈したことがある。

ステージD  治療効果が不十分で、末期的な心不全の症状を認める。

 

検査

①一般身体検査  動き、栄養状態などを把握

②聴診      心雑音6段階評価+呼吸音の評価

③血圧測定    高血圧の把握

④血液検査    併発疾患の有無、NT-proBNP濃度の測定など

⑤ホルモン検査  甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンなど

⑥レントゲン検査 心肥大の程度、気管の状態、肺の状態

⑦心エコー検査  弁や心室壁の状態、心機能検査

⑧心電図検査   不整脈の有無など

⑨その他

 

治療

食事療法  一定した食事内容を続ける。適度な減塩と最適な栄養バランス。

必ず食事療法はオススメします。ヒルズH/D。

薬物療法 ・血管拡張薬(ACE阻害薬) *薬物療法は第一選択の治療法です。

      ・利尿薬

      ・鎮咳薬

      ・強心薬

      ・その他

③手術   僧帽弁修復術(僧帽弁腱索再建術+弁輪縫縮術)

・年齢12歳以下、併発疾患を持っていない、体重2.0kg以上

重度で進行性である、急性肺水腫を起こしたことがあるなどの条件

費用(100万円以上)と手術に対するリスクを鑑みて希望された場合は

専門病院をご紹介いたします。

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