寺田動物病院
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2015/1/10 土曜日

  No.2 肥満

20100821151152adc201008211511521c8 肥満Obesityとは、正常な状態に比べて体重が多い状態、脂肪が過剰に蓄積した状態を言います。

肥満率 犬20-40% 猫40-52%

原因 ①過食  ②運動不足

肥満から引き起こされる疾患

高血糖、高血圧、脂質異常(中性脂肪TG、総コレステロールTCの高値) 糖尿病、脂肪肝(引き起こされる肝不全、腫瘍)、変形性関節症など

犬と猫のメタボリックシンドローム判定基準

・肥満(正常体重の10%以上、BCSが3以上)

1)犬・猫 Glu(血糖値) >120mg/dl

2)犬・猫 TG>165 3)

犬 TC>180・猫>200

4)犬・猫 ALT>100IU/L

犬より猫で怖い肥満!

犬(雑食)と猫(肉食)は、全く違う生き物です。 猫は肥満から糖尿病に非常になりやすい。

犬 1型糖尿病(インスリンが分泌されない)が多い。

猫 2型糖尿病(インスリンが効きにくい・インスリン抵抗性)が多い。

*2型糖尿病の原因:過食、運動不足による肥満、ストレス、加齢などが原因で インスリンが分泌されても作用しにくい状態になっている。

肥満の治療

①飼い主の強い熱意!

②適切な食餌:医学的に作られた処方食の使用も考慮

③適切な給与方法:1日量を決めて、3回以上に分けて与える。

④運動!運動!運動!(特に犬は)

⑤2週間ごとに体重測定

2015/1/3 土曜日

  No.1 僧帽弁閉鎖不全症

犬の僧帽弁閉鎖不全症

 

犬の心不全にはいろんな原因があります。心不全とは、病気の名前ではありません。全身に血液を送ったりもどしたりする心臓の働きが低下し、何らかの症状がみられた状態(症候名)を言います。

 

心不全の原因として

①右心不全  フィラリア症、肺血栓症、心筋症、など

②左心不全  僧帽弁閉鎖不全症、心筋症など

また、左心不全から右心不全を併発したりすることもあります。

 

心不全の症状としは、

①右心不全  腹水、胸水、むくみ、浮腫、肝腫大など

②左心不全  咳、運動不耐、失神、肺水腫、呼吸困難など

また、その両方の症状

などが見られます。

 

特に犬で一番多いのは僧帽弁閉鎖不全症です。

 

「犬の僧帽弁閉鎖不全症」

僧帽弁とは、左心房・左心室の間にある弁です。

 

心臓の血液の流れ

心臓には4つの部屋に分かれており、

肺→左心房→(僧帽弁)→左心室→大動脈で全身へ  全身から大静脈→右心房→右心室→肺

 

もう少し詳しく書くと

各部屋にはドアのような役割をする弁があり、血液を押し出す時に逆流しないように閉まる働きがあります。

 

左心房→僧帽弁開く→左心室へ血液流入→僧帽弁閉じる→心臓が収縮→大動脈から全身に血液を送り出す

 

と言った経路です。

 

僧帽弁がきちっと閉じることで、心臓の収縮の時期に前方に血液が勢いよく出て行きます。

 

僧帽弁閉鎖不全症とは、僧帽弁・弁輪部・左心房・弁の腱索などの異常により、僧帽弁の閉鎖が障害される病気です。

僧帽弁の粘液腫様変性が最も多く発生します。

 

僧帽弁閉鎖不全症は、僧帽弁の異常によりきちんと閉まらずに、血液が左心房に逆流してしまう病気です。

 

①血液の逆流→心雑音  聴診時に心雑音として聞こえます。

②左心房への逆流→左心房の拡大  レントゲン検査で、心肥大が見られます。

進行すると症状が見られてきます。

③心肥大→気管支の圧迫→  興奮したり騒いだ時に咳が見られるようになります。

④左心房への逆流→肺から血液が戻り難くなる→肺に血液がうっ滞する→肺水腫

→安静時にも咳、呼吸困難

原因  正確な原因は不明ですが、老化(加齢)と遺伝が関与。

 

多発犬種

キャバリア、マルチーズ、プードル、ダックス、チワワ、シーズ、ポメラニアン

ヨークシャテリア、シュナウザーなど

 

 

 

ステージ分類(状態の指標)

ステージA  現時点では問題なしだが、好発犬種

ステージB1 心雑音有り、臨床症状無し。レントゲン検査、エコー検査で問題なし。

ステージB2 心雑音有り、臨床症状無し。レントゲン検査、エコー検査で異常あり。

ステージC  心不全の症状有り。もしくは症状を呈したことがある。

ステージD  治療効果が不十分で、末期的な心不全の症状を認める。

 

検査

①一般身体検査  動き、栄養状態などを把握

②聴診      心雑音6段階評価+呼吸音の評価

③血圧測定    高血圧の把握

④血液検査    併発疾患の有無、NT-proBNP濃度の測定など

⑤ホルモン検査  甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンなど

⑥レントゲン検査 心肥大の程度、気管の状態、肺の状態

⑦心エコー検査  弁や心室壁の状態、心機能検査

⑧心電図検査   不整脈の有無など

⑨その他

 

治療

食事療法  一定した食事内容を続ける。適度な減塩と最適な栄養バランス。

必ず食事療法はオススメします。ヒルズH/D。

薬物療法 ・血管拡張薬(ACE阻害薬) *薬物療法は第一選択の治療法です。

      ・利尿薬

      ・鎮咳薬

      ・強心薬

      ・その他

③手術   僧帽弁修復術(僧帽弁腱索再建術+弁輪縫縮術)

・年齢12歳以下、併発疾患を持っていない、体重2.0kg以上

重度で進行性である、急性肺水腫を起こしたことがあるなどの条件

費用(100万円以上)と手術に対するリスクを鑑みて希望された場合は

専門病院をご紹介いたします。

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